としごと・しごとと

インフルエンザワクチンは効かないのか?ワクチンを打ってもインフルエンザにかかる理由

インフルエンザが猛威を振るっていて、お子さんが学級閉鎖になったという方も多いのではないでしょうか?

さて、先日SNSでこんなニュアンスの意見を見かけました。

・インフルエンザのワクチンを打たずに電車に乗る人は、感染を広げているヒドイ人だ。

・インフルエンザのワクチンを打ったのにインフルになった、お金を返せ。

 

私はインフルエンザのワクチンを打っていないのですが、それには理由があります。

インフルエンザなどの微生物は私の得意分野なので、今回記事にしてみました。

なるべく専門用語を使わずに中学生の娘や息子でもわかるようにわかりやすく解説していこうと思います。(絵はイメージ図です)

ちょっと長いのですが、お付き合いください。

 

インフルエンザウイルスには3つの型(A型・B型・C型)があるということ。

そして、人に感染するのはA型とB型の2つです。中でも問題となるのがA型です。

A型インフルエンザには144種類もあるということです。

※人畜共通感染症なのでトリやブタからも感染する可能性がありますが、海外での感染例が多く日本ではあまり報告例を聞きません。おそらく日本は公衆衛生に厳しいからです。

日本ではトリインフルエンザが発生すると感染が広がらないように、発生農場内のすべての家きんは速やかに殺処分され、死体は埋却または焼却されます。

なお、インフルエンザウイルスは摂氏70度の温度で調理することで殺滅します。

 

そもそも、「ワクチン」って何でしょう?

これは人の体が異物に対して抗体を作り、異物を排除するというシステムを利用したものです。

抗体ができることで2回目以降の感染は、異物の排除までの対応がスピーディになります。

弱毒化したウイルスや不活化したウイルスを打つことで、体内に抗体を作らせて本当のウイルスが入って来た時に速やかに排除させようというのがワクチンです。

この抗体を作る力は自分の免疫力にかかっているため、体調が悪い時にワクチン接種はできないのです。ワクチン接種前に熱を測るのはそのためです。

 

そもそもウイルスって、どうして動物に感染するか知っていますか?

ウイルスは自分で増殖できないので、生きた細胞に入って変わりに自分のコピーを作らせます。

この増殖のスピードがまぁ早い。体内には生きた細胞がたくさんありますからね。

ある程度ウイルスの数が増えた時点で、高熱、全身の倦怠感・関節痛・筋肉痛・頭痛・食欲不振などの症状が現れます。

インフルエンザの薬にはウイルスを殺す力はなく、増殖を止める力しかありません。

だから48時間以内に使わないと意味がないというのは、ウイルスがすでに増え過ぎちゃって症状を止めることができないんですね。

そして発熱などの症状が消えても感染力がある(ウイルスがまだ残っている)のですね。

 

では、なぜインフルエンザワクチンを打ったにもかかわらずインフルエンザに感染してしまうのでしょう。

 

それはインフルエンザウイルスが変異しやすいからです。

同じA型のH1N1のウイルスでも、去年と今年でちょっと形が違います。

さらにある時を境に、インフルエンザの型が大幅に変化することがあります。

これが新型インフルエンザとなり、過去に感染した例がないために体内に抗体がなく、多くの犠牲者を出してしまうのです。

怖いですね・・・。

 

ところでインフルエンザのワクチンって毎年品切れになりますよね。

なぜ?いっぱい作っておきなさいよ!って思われることでしょう。

ヒナの時から管理されたニワトリが産んだ卵に、ワクチン用のインフルエンザウイルスを投与して、生きた細胞内でウイルスを増殖させ、その後不活化してワクチンにしています。

このワクチン用インフルエンザウイルスというのは、「多分今年は、これとこの亜型のウイルスが流行するだろう」という予想をして用意されたウイルスです。だいたい3種類のインフルエンザウイルスが入っているそうです。

だからこの予想が大幅に外れてしまうと、ワクチンとしての意味が無くなってしまうのです。

※厚生労働省によると、大幅に外れてしまうことはあまりないそうです。

①ワクチンを作るのに手間と時間がかかること

②もしかしたら予想が当たらないかもしれないため、国民全員分などという量を作ることが出来ないこと

③不活化ワクチンは自然感染や生ワクチンに比べて生み出される免疫力が弱く、1回の接種では不十分で2回接種することが望ましいこと

以上の理由で、毎年ワクチンの量が不足するわけです。

 

インフルエンザワクチンを接種するとインフルエンザに感染しないこともありますが、完全に感染しなくなるというわけではないのです。

※2020年1月追記:卵アレルギーでもワクチンの接種は出来るそうなので、医師にご相談ください。

他にもワクチン接種の時に体調が悪くて、抗体を上手く作ることができなかった場合もあります。

ワクチンを打ってから時間が経ったので、抗体の量が減ってしまったということも考えられます。

 

このようにインフルエンザウイルスは変異しやすいため、ほかのウイルスのワクチン接種(終生免疫の獲得)とは意味合いが違います。

 

だったら「インフルエンザワクチンを打っても意味がないのか?」と言われると、必ずしもそうではありません。

本物のインフルエンザウイルスがいきなり侵入した場合に、通常の免疫力がある人は自分で抗体を作って戦うことが出来ますが、もともと免疫力が低い人々は耐えられない可能性があります。

だから①13歳以下の小さいお子さん②65歳以上の方③持病がある方などは、医師と相談してインフルエンザワクチンを接種した方が良いとされています。

※1歳くらいの赤ちゃんに対しては免疫システムそのものがまだ未発達なので、積極的にはオススメしないというお医者さんもいます。ですがワクチンは6ヶ月から打つ事ができます。

 

わからないことはお医者さんに相談してください。

 

他にも一人暮らしで看病をしてくれる人がいない方や、電車に頻繁に乗るので感染のリスクが高い方、妊婦さん、医療介護関係の仕事に従事している方、幼稚園の先生・保育園の保育士さん、学校の教師、不特定多数との接触が多いサービス業の方々などは打っておいたほうがいいと思います。

 

そもそも卵アレルギーの人はインフルエンザワクチンを打つことができません。

我が家には13歳以下の小さい子もいませんし、65歳以上の高齢者もいませんし、毎日電車に乗る人もいませんし、他人との接触も少ない職種なのでワクチンの接種はしていません。

受験生には「念のために打っておく?」と確認したのですが、「ワクチンを打った年だけ感染したからいらない。」と言われました。

(そうなんです。ワクチンを打った年だけインフルエンザにかかったんです。しかも2回。)

 

インフルエンザワクチンを過信せずに、手洗い・うがい・加湿・マスクなどの感染予防対策と、栄養・睡眠をしっかり取って免疫力を高めておきましょう。

 

※これは2019年時点での話で、情報はどんどん新しく変わっていきます。

今後インフルエンザに対する画期的なワクチンや薬が開発される可能性もありますから、その時は前はこうだったのねと参考になさってください。

 

 

今回、参考にさせていただいたサイトです。

https://influ-info.jp/basic/history.html

https://www.data-index.co.jp/knowledge/detail4-2.html

https://haba-clinic.com/shitsumon/100921_2.htm

 

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